【入院の振り分けについて】
 新型コロナウィルスは指定感染症としての取り扱いで、感染が確認された人は隔離措置を取られています。政府の方針もあり、無症状や軽症の感染者であっても一律入院の措置が取られています。これは、感染者の8割を占める無症状や軽症の人が、ほぼ何も治療することなく、感染症指定の貴重な専用病床を占めていることになり、医療のリソースのかけ方として今後問題になってくると思われます。病床に余裕のあるうちは問題無いかもしれませんが、今のうちに対応を考えておく必要があります。その点で、先日大阪府が打ち出した感染者の振り分けを行うシステムは高く評価できると考えます。これは自治体がリードして感染者のうち重症あるいはハイリスクの人が優先的に指定の専門病床に入院・治療できるように「入院フォローアップセンター」にて一元的に振り分けるシステムです。一方、軽症や無症状でほぼ経過観察だけの人は、一般病床や宿泊施設にて隔離をするというものです。このような「トリアージ(治療優先判断)」は既に韓国でも実施され、効果を上げているようです。韓国はかつてMERSの苦い経験を生かして、新興感染症への対応としては、手厚く進んだシステムを持っており、参考にすべきところです。
 重症者が大勢押しかけて病院機能が麻痺するのも医療崩壊ですが、無症状や軽症者が専門病床を占拠して必要な人が入院・治療できないこともある種の医療崩壊といえるでしょう。

【COVID-19のPCR検査について】
 無症状の人や軽い風邪症状の人が、新型コロナウィルスの検査を受ける必要性は、基本的にはありません但し、感染者との濃厚接触者は除きます。念のために新型コロナウィルスで無いことを確認したいという思いがあるかもしれませんが、もし、検査で陰性が確認されたとしても、その翌日以降に感染していないことが保証される訳ではありません。そう考えると、一度の検査をしてもきりが無いといえますね。
 子供さんの場合は、元気で食生活が過ごせているようであれば、風邪症状があっても自宅で安静に経過観察することが重要です。無症状や軽症の段階では、風邪薬を飲むくらいしかできることがありません。一方、苦しくて眠れないなどの呼吸苦があったり、だるくて食事が取れないなどの全身状態の悪化があった場合は、速やかに医療機関を受診させて下さい。最初の段階は、新型コロナウィルスであるか否かより、呼吸器感染症として重症かどうかが、判断のポイントで、症状が進めば、新型コロナウィルスを含めて必要な検査を行うことになります。
 なお、COVID-19のPCR検査は保険適用になりましたが、当面一般の診療所や病院では検査できませんし、検査できる病院のリストも公開されておりませんので、必要と感じられたら、所定の手順に従って、適切な窓口にご相談下さい。
文責 院長 齋藤 勇