Q1 インフルエンザ生ワクチンの「フルミスト」が不活化インフルエンザワクチンに比べて発症予防効果が高いのは何故ですか。
A1 不活化ワクチンと生ワクチン(フルミスト)には誘導メカニズムと作用機序が異なります。 不活化ワクチンは対象とするワクチン株への中和抗体を注射により皮下から体循環へ誘導します。これは、身体全体へ中和抗体を導くため、ウィルス血症による拡散を抑える効果があるため、他の臓器感染を抑止し重症化を抑えます。しかし、ウィルスの侵入の入り口である鼻咽腔の粘膜細胞への感染を阻止する効果は限られています。これに対して鼻咽腔への直接噴霧により分泌型IgAという強い局所免疫を誘導するフルミストは、入り口である鼻咽腔粘膜細胞への感染そのものを阻止します。粘膜細胞でのウィルスの一次増殖を抑え、局所感染の成立そのものを阻止するため、続く全身性の感染に至るリスクも引き下げます。

 また、フルミストのような生ワクチンで誘導される中和抗体は不活化ワクチンの場合と異なり、広域中和抗体という多種多彩な抗体を導くためワクチン株やウィルスの種類を越えた効果が期待できる場合があります。さらに不活化ワクチンでは、細胞障害性T細胞などの細胞性免疫の作用を期待することはできませんが、生ワクチンでは、これらを誘導することが見込めます。

 このように生ワクチンと不活化ワクチンの違いと、局所投与と全身投与の違いが、このような発症予防効果の違いを生んでいます。生ワクチンで感染の入り口である鼻咽腔粘膜への侵入(感染)を抑えることで、以降の重症化のリスクが結果的に無くなる(減少する)ということで、フルミストには重症化予防効果もあります。

 「自然感染に優るワクチンはなし」という言葉があります。ワクチンでは、実際に感染し罹患する以上の免疫は得られない・・・という意味です。しかし、麻疹等罹患することで、重篤な後遺症を来す感染症もあり、「むしろ、感染してしまった方がよい」などということは正しくありません。フルミストのような弱毒生ワクチンの投与は、リスクの少ない模擬感染の状態を作っているということができるかも知れません。

 以上は、一般的な説明ですが、個々の場合については、本人の免疫状態や暴露されたウィルス量などの違いもあり、100%発症が防げるという訳ではありませんので、ご留意下さい。

Q2 フルミストを接種する場合に、他のワクチンや薬剤との間隔について教えて下さい。
A2 添付文書によると、他の生ワクチンを接種した場合は、4週間開けてフルミストが接種できます。
 その他のワクチンは、念のため新型コロナワクチンと同様前後に2週間開けることをお勧めしています。
 また、抗インフルエンザ薬(タミフル、ゾフルーザ、リレンザ、イナビル、ラピアクタなど 以下同様)の投与があった場合は、ワクチンの効果と干渉するため最終投与から4週間空けて接種し、フルミスト接種後も2週間抗インフルエンザ薬の投与を控えます。